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此方、姿川に架る名稱不明橋でありますが、宇都宮中央警察署大谷町駐在所の裏手百米程の場所であります。
ぱつと見に昭和卅年代の物件かと思はれますが、何しろ當然の如く竣功年度不明でありますので、高欄の形状からしてさう推察するのであります。
でありますが、一寸腑に落無い部分も在りまして、實は案外新しい物件なのでは無いかな共思へる代物でありました。
併し此處、大谷街道から少し入つた場所でありますので、靜かな上に良い風景であります。
道端に溜まつた落葉が素敵だなあと思ひました。
では此方、右岸側から見て行きます。 |
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親柱が省かれて居りまして、高欄の柱のみと成つて居ります。
其爲、高欄の兩端の柱が辛うじて親柱を兼ねてゐると云へる位の大きさでせうか。
併し結構川牀からは高い位置に架橋されて居ります。
丸で溪谷かなと思へる位に。
して、まあ、桁的には昭和四十年代以降の混凝土桁橋の特徴的な造りでありますし、混凝土の詰り具合等から察しますに、
案外昭和五十年代か其以降の物件かも知れません。 |
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で以て、一寸不思議でありますのは、上流側の高欄は混凝土柱を使用して居りますのに、何故か下流側は鐵管なのであります。
でありますので、桁を附足して擴幅されてゐるのか共考へたのでありますが、如何にも牀盤にさう云ふ痕跡が見られませんので、架橋當初から斯う云ふ姿だつたのでせうか。
姿川だけに。 |
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併し此處、何依り壓卷でありますのは、護岸が大谷石で出來てゐる事であります。
橋臺附近の石積風模樣の混凝土護岸も手の込んだ仕事だと思ひますが、之だけ細い大谷石を積上げてゐるのには、唯々感歎するだけでありました。
多分、之は相當に古い施工では無いのでせうか。
何と無くでありますが、戰前とか昭和廿年代とか、所謂大谷石採掘最盛期の香りを感じたのでありますが。 |
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して、結構良い眺めでありますよね。
宇都宮市、而も結構市内に近い處で溪谷的な眺めが味はえる大谷町、自轉車で來て良かつたなあと思ひました。
普通に自動車で來ただけでは此處と其眺め、分りませんもの。
併し大谷石の護岸の間から生えてゐる木の成長度合も立派であります。
其と、右岸は施工されて居らず、自然其儘と云ふ感じなのが手荒く嬉しく成つて仕舞ひます。 |
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右岸側、護岸が全く無いと云へば嘘に成りますが、施工されてゐても橋臺附近だけなのであります。
今氣附ましたが、此方側の高欄だけ、端の柱が若干大きく、親柱の役割を兼ねてゐる感じであります。 |
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對する上流側は混凝土塊團護岸でありますが、川牀の石が"らいし"感じでありまして、之は之で素敵であります。
或る意味、きちんと混凝土が卷かれた高欄が味はいを添へてゐる、と云ふべきでせうか。 |
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水門と揚水施設だと思ふのでありますが、何處へ如何通じてゐるのか一寸謎でありました。
併し無造作に積まれた大谷石が使は無いのか、其儘放置されてゐるのは勿體無いなと思ひつつも、流石産地だなと云ふ印象であります。
まあ、何か謎めいた物件でありましたが、景觀と合つてゐたと云ふ感じで、或る程度は古風に架橋された物件なのでせうか。
以上、御附合有難う御坐いました。 |