2673年 7月 1日 探訪
![]() |
【中篇】からの續きであります。 【現在地】 何と無くでありますが、結構登つて來まして、左手はもう何方かと云ふと崖と云ふ樣な感じに成つて來ました。 之も鬼怒川の氾濫原と山裾の境と云ひますか、氾濫時に削られて崖に成つたと云ふ事なのでせうね。 前方が明く成つて來ましたので、そろそろ現道との合流だらうと思はれます。 |
![]() |
さうでありますね、後僅かで現道であります。 路肩部分、可也の崖で、多分崩落してゐる樣な處も在ると云ふのが御分り戴けるだらうか。 |
![]() |
何と、人孔が在りましたので、きつと斯う云ふ物件の管理の爲に此處を通行すると云ふ事でせうか。 而も聢と宇都宮市の刻印の物に成つて居ります。 併し流石に轍が有るからか、此處でやつと本來の幅員に戻つた感じであります。 さうして、現道と再び交る邊なのでありますが、此方の道との間に車を停めて置く事が出來る位の用地は在る樣であります。 て、おや、何か石碑が建つて居ります。 白々しい書き方でありますが。呵呵 |
![]() |
ええと、手荒く達筆、と云ふか崩字でありますし舊字體でありますので讀むのに難儀致しますが、「縣道開鑿記念碑」でありますね。 因に裏側を讀ますと、昭和五年五月廿日に起工し、昭和七年三月十三日竣功。 總工費は壹萬圓で、此方の石碑は羽黒村が建立したのださうであります。 當時は壹萬圓で道路が出來たのでありますね。 今の貨幣價値が異常だと思ふのは戰前派だけなのでせうか。 と云ひますか此石碑、此處から御羽黒山への登山道や此方の道の礎と成つた、も少し御羽黒山の麓を進み羽黒北街道、御宮橋の傍の方に出てゐたのでありますが、 此年に此方、前篇から紹介してゐる道が出來たと云ふ事の樣であります。 昭和新道、現代で云ふバイパス道と云ふ事なのでせうね、其記念碑何て素敵過ぎます。 而も當時から縣道指定でありますから、依り一層の驚きであります。 出來ますれば、今度は羽黒村役場跡でも探索して見ませうかね。 |
![]() |
扨合流、とは未だも少し成りませんで、崖に添つて良い具合に折た線形が殘されて居ります。 |
![]() |
すつかり草生して居りますので分りませんが、斷崖からの轉落防止に頑丈さうな混凝土製の車止が複數設置されて居りました。 其と、木製電柱が殘つて居りました。 勿論現在は使用されて居りませんが、何か良い雰圍氣でありますね。 |
![]() |
して、合流部分であります。 舖裝の切取方等からしまして、此邊からも現道とは若干の高低差が生じてゐるのでありますね。 |
![]() |
高速道路の北側の部分、此處は如何判斷して良いのか惱みましたが、電柱の竝び方を見ますと、多分元々の線形は"さう"だつたと云ふ事なのだらうと思ひます。 が、まあ、面影は無いと思ひますので此處は割愛致します。 |
![]() |
【現在地】 高速道路の南側、直ぐ右手に舊道部分が御坐います。 さうして、今囘の終點である今里交叉點も見えて仕舞ふ譯であります。 併し此處、高速道路に向つて交叉點邊から餘裕を持つて下る樣に成つてゐるのでありますが、舊線形側の接續は結構な勾配と成らざるを得無いのでありますね。 |
![]() |
嗚呼、もう全面的な舖裝の補修は行はれて居無いのでせう、繼目だらけでありますね。 其と、此處迄幅員が極端に違ふと云ふ事は元々は無かつたでせうから、高速道路が通つた後に用地拂下げ等在つたのだらうと推察するのでありますが、 一寸元の線形が不鮮明かなと云ふ感じであります。 |
![]() |
して、其電柱の在る方に在つた此方、一寸興味を引かれました。 境界では無く道路敷界と成つてゐるのであります。 一體何時頃の物なのかは不明でありますが、字體からしまして結構年代物では無いかなと思ひます。 多分若しかして、此方の道路が開鑿された時の物でせうか。 としますれば戰前物件でありますよね。 |
![]() |
此處は自然な線形の儘でありますね。 何か、古ガアドレイル三期型が妙にそつぽ向てゐる樣に建つてゐるのは何故なのでせう。 若しかして、さう云ふ位置が元々の線形だつたと云ふ事なのでせうか。 |
![]() |
して、現道と合流して今里交叉點に戻つて來ました。 家と道の間には、今日も流れる堀が在る。 とか、何處かで聞いた樣なアレなアレは冗談としても、斯う云ふ情景を見ますと、昔からの街道が基に成つて時代と共に變遷して來たのだなと感じました。 して、ぐるりと一周して來て思ひましたのは、現バイパスは間違ひ無く格段に便利な道に成つたと云ふ事であります。 何しろ、宇都宮方面から鬼怒川の右岸側を、ずつと中央線の在る道で鹽谷町迄行ける樣に成つたのでありますから。 是で日光や鬼怒川温泉方面への道程も隨分と快適に成つたのだなと思ふのでありました。 以上、御附合有難う御坐いました。 |